100点

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紆余曲折を経て、5時半頃解散となった。有力な情報はでず、先生が恐れおののく理由も、100点を取る理由も掴めなかった。 周りは急いで帰る人や熟睡中の人、驚くことに、雨宮さんは友達に今日遊ぼうと話しかけていた。 「好女(よしめ)、帰ろうよ」 青年は、机に突っ伏す男友を誘った。初めは苗字が好女というのに驚いたが、実はここの校長の孫なのだ。 「好女、なにしてんの」 声をかけても、机に突っ伏したままだった。肩を揺する。 「ん、お前か。もう会議は終わりなんだな。帰るか」 好女はのそっと立ち、カバンを持った。 「居眠りしてどうしたの」 橙色の夕陽が照らす帰り道、青年は好女に訊いた。 「ただ眠かっただけさ」 好女は呑気に答え、ついでに欠伸をする。 「最近校長先生はどう」 校長先生とは好女を通じ、時折伺うことがある。 「爺ちゃんは相変わらず俺を疎外するよ。まぁ、役に立ってるんだけどね」 「役に立ってる?」 怪しい言葉に、思わず聞き返した。 「なんでもない。それより、先生のあの焦りを思い出すと、何か笑えてくるよな」 好女ははぐらかしと一緒に、はたまた妙なことを口にした。笑える? どこが。青年は全く理解が出来なかった。 「人って様々な顔があるからな。じゃ、俺はこっちだから」 分かれ道で、好女は去っていった。
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