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その晩、黒鐘山では、千里先にさえうわさとして伝わることとなる盛大な百鬼夜行が行われた。
化け狸たちはみな思い思いの妖怪に化け、その列を飾った。中でも、先頭を進む赤鬼は、非常に威厳のあるオーラを出していたという。
以降、吉助は、緑鬼百鬼の中に平然と飛び込む勇猛果敢なものとして、化け狸たちにもてはやされたという。仲間のために立ち上がるその雄姿は、歌として、芝居として、狸たちの間で受け継がれていった。
もっとも、当の本人は相変わらず小心者だったというけれど。
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