ひと冬の甘い罠

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 どうしたものかと考え、まずはアロイヴと会う事にした。  昨日の今日で顔を合わせるなど、火を噴くように恥ずかしいが致し方ない。  彼にはしっかり口封じをしておかねばならない。  だが、友人は実に小ざっぱりとした顔つきで、何事も無かったかのように朝の挨拶を寄越してきた。  そして昨夜の事など、これっぽっちも触れてこないのだ。 「何かあったっけ? あの後ルカスの部屋を出て、そのまま自室へ戻ったぞ。本を少し読んで、それから寝たかな」  俺は狐か狸に化かされているのか、とルカスは思った。  あの熱いひとときは、うたかたの夢だったというのか!?
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