650人が本棚に入れています
本棚に追加
/215ページ
朝のニュースやスポーツ番組を見ながら、花のトーストにマーガリンを塗って手渡し、自分のトーストにも塗る。
今日はどこに行こうか。花と出かけるなんて、初めてだから嬉しい。学校帰りに遊ぶ事はあっても、休みの日は俺もバイトが入っていたり…二人でゆっくり出かけるなんてなかなかできない。せっかくだから…遠出したい。花はどっか行きたい場所あるのかな……。
『花……今日、行きたいとこある?』
『……え、うーん…あ、』
何かを思い付いたように花が、俺を見つめて赤くなる。……いちいち照れんなよ。
めちゃめちゃ俺の事意識してる、ね。嬉しいけど、超絶可愛いけど…なんだか俺も恥ずかしくなるじゃん。
『……花いちいち赤くなんないでよ』
『な、ってないよッ…も、そゆこと言わないで』
『………タコ花』
『ッ…ガキか』
あーもう。あーもう。押し倒してイイ?
悶々としてしまう…。
『す』
『す?』
え……?
『水族館……行きたい』
思わずプッと吹き出してしまった。照れるから……どんなとこに行きたいの?って思ったけど。水族館……て。ひとりで悶絶して黙っていると、花が心配そうに俺を見つめる。
『あ、ダメだったら全然、別の場所で』
『楽しみだよ……水族館』
俺は優しく花に微笑み…肩を引き寄せながら軽く口付けた。花の顔が今まで以上に赤くなってくる。俺はクスッと笑い
『タコ?』
『も…ッ…うるさい』
俺の肩を押しながら…花が食器の片付けを始めた。俺はしばらく笑いが止まらなかった。
着替えを持ってきてない花に服を貸してあげ、身支度を整える。花には俺の服は少し大きいみたいだけど。可愛いから黙っておこう……。
最初のコメントを投稿しよう!