ふたり

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「奏。俺は奏のことが好きなんだ。俺と付き合ってくれる?」  声が震えないようにゆっくりと言葉を紡いだ。最後まで言い切ってホッと息を吐く。 「……っ奏」  恐る恐る奏の顔を覗くと、今まで見たことがないくらい綺麗な顔で笑っていた。声も出せずに見蕩れている梓に奏が再び口づける。 「もちろん。俺も梓が好き。いつもみたいに穏やかで落ち着いてる梓もいいけど、さっきみたいに言いたいこと言ってくれる梓もかわいくて好き」  いたずらっぽく目を細めた奏が三回目のキスをする。 「誘ってかわされるのって傷つくよね?」  わざとらしく口を尖らせてみせた奏に耐え切れず吹き出してしまった。緊張が解けていく。 「奏、ごめん」  もうかわさないよ。そう耳元で囁いて今度は梓から唇を重ねる。これまでの分を埋め合わせるかのように深く。  絡ませた舌が驚くほどに熱い。抱え込むように回された腕に身体が疼いた。 「も、我慢できない……いい?」  呟いて自分ごと奏を横たえた。奏の潤んだ目元に理性が振り切れる。  唇を思う存分堪能して、ゆっくりと首筋へと舌を這わせていく……いつか見た夢が脳裏に浮かんだ。  耳元で名前を囁き、そっと舐め上げると奏の肩がびくりと跳ねた。耳の後ろ……見えるか見えないかの位置に唇を合わせ、ゆっくりと吸い上げた。  少しだけ顔を離して、そこにピンクの花びらが散ったのを確認する。 「奏、キレイ……」 「……っ……」  唇を重ねながら片手でシャツの裾を捲り上げる。全く焼けていない白い肌が蛍光灯の光に浮かび上がった。脇腹をゆっくりとなぞり上げ滑らかな手触りを楽しむ。  奏の唇からこぼれる色めいた吐息に情動がわき上がった。  捲り上げたシャツに顔を入れるようにしてその白い肌に唇を乗せる。小さく隆起した突起を舌で歯でからかってやると、奏の背が大きく反り返った。 「っんっ……ふぅ・あ」 「奏、ここ、キモチイイ?」  軽く歯を立てたまま聞くと、奏の腕が押し返すように力が入る。重なった脚に奏の震えが伝わってきた。  ちょっと触れただけですごい感じてる。隠そうとしているくせに隠しきれていない、奏の痴態に興奮が高まる。  ウエストに手を差し入れ、芯を硬くしている奏自身を解放してやる。外気に晒された奏が切なげに首をもたげた。 「……っあ、ずさっ――ひゃぁっ……」  すでに先走る透明の蜜を手指に絡め、ゆっくりと扱いてやると奏の口から絶え間なく甘い喘ぎがあがる。透明の蜜は徐々に溢れ出す量を増やし、白濁した液体が広がっていく。  奏の甘い声を聞いているだけで梓自身が解き放たれてしまいそうだ。 「っごめ……梓。お、れ……」  切なそうに喘ぐ奏の芯が一際硬さを増した。奏の限界を悟って、扱きあげる指を強くする。まるでセックスを覚えたばかりのころみたいに余裕がない。それを必死で押しとどめているのは、間抜けなくらいのプライドだ。 「奏、イッていいよ」  耳元で囁いた途端、奏が震え、その手に温かい欲望を受け止めた。  奏の力が抜け落ち、荒い息と共に畳の上に身体を投げ出している。  額に張り付いた髪の毛を濡れずにいた手のひらで避けてやり唇を重ねた。まだ熱を帯びた舌が絡み合ってくる。 「奏、俺も限界……いい?」  耳元でそっと囁くと奏が小さく頷きを返した。その顔を見ると目は固く閉じられ頬が赤く上気していた。  奏の脚から着衣を抜き取り、そっとその脚を抱え上げる。欲望を受け止めたままの手指を後部に忍び込ませ、傷つけないようゆっくりとその窄みに沈めた。
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