幻魔学園

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<はじめに>  ”学園ファンタジー”という物語。幻魔大戦しか書けない筆者には、正直、お門違いとしかいえない分野であることを認めざるを得ない。それでも、いささか無理をしてもトライしたいと考えるのは、それがむしろ、”ありえなかった歴史”だからに他ならない。  あの悲惨な戦いに陥ることなく、他愛もない、すったもんだを繰り返す”学園ファンタジー・コメディ”の世界であったら、どれほど”すばらしい”ことだったかと思わないではいられないからだ。  筆者の見るところ、平井和正先生は、人の闇の糾弾テーマを経てそこから脱却する方法論として”天使”を志向されたが、その絶対善の限界を感じられ、そして見出したのが”面白ユートピア”という発想であった。  あるいは、今のラノベという分野になるのかもしれないが、殺伐とした不毛な正義と悪の殲滅戦ではなく、いささかコミカルで、善玉悪玉入り乱れての豊穣な神話的世界を指しているのだろうと、私は考えている。  たとえば、それは一連の高橋留美子さん描くところの、一連の学園ファンタジードタバタ漫画のような。平井先生は、高橋さんの作品に触発され、対談をするなどを経て方向転換をされた。  その中で、もし、新たにあの幻魔大戦の続編でなく、その物語をもう一度書き直すとしたら、どうなっただろうか。  実は、書かれなかったからこそ、なおさらに誰よりも私が、それを知りたいのだ。読んでみたいのである。  だから、それは、  たとえば、こういう物語なのではないだろうか。
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