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「強情な私は嫌い?」
「そんな訳あるか」
源治さんはそっと私に寄り添って頬にチュッとキスをしてくれた。
「唇にしないんですか」
「したら理性が飛ぶ」
「…ふふっ」
源治さんに愛されていることを実感するとほんの少し気分が良くなる。
「あ、今なら大丈夫かも」
「そうか、では下に降りよう」
「そうで──えっ!ちょ、ちょっと」
立ち上がろうとした私を源治さんはひょいとお姫様抱っこした。
「ひとりで歩けますよ、私」
「俺がこうしたい」
「~~~」
こんな恰好を父を始め、澄子さんや子どもたちに見られるのは恥ずかしいなと思いながらもやっぱり私は源治さんの首に腕を巻き付けてその嬉しさを言葉にする。
「源治さん、大好き」
「俺もだ」
自然と唇に触れるだけのキスをした。
「あ、しちゃった」
「……」
「源治さん…今は我慢、我慢してくださいね」
「──まるで拷問だな」
「ふふっ、本当可愛いんだから」
「何?」
「……あ!」
(禁句、いっちゃった)
「…由梨子、今夜は覚悟をしておけ」
「~~はぁい」
私たちは相変わらずこんな調子。
いつもはクールで素っ気ないビターな源治さんが時々くれるスイートな言葉と行為に何年経ってもときめいてしまっている私なのだった。
bittersweet(終)
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