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しかし──
「貴様はやり過ぎた」
「!」
度重なる彼女へのメール攻撃。あらぬ嘘や戯言を並べ立て彼女を誘い出そうとした。
そしてやっとこぎつけた密会の約束。
この密会で彼女の不貞をでっち上げ、伊志嶺社長に報告しあわよくば離婚──という運びにしたかったのだけれど約束の時間、ホテルに来たのは伊志嶺社長自身だった。
「な……なっ、んで…」
「由梨子から全て訊いた」
「! 彼女…僕とのことを……あんな恥ずかしい事をあなたに話したっていうんですか?!」
(彼女の性格からして絶対にいえないだろう話だったのに)
「貴様との行為よりも更に恥ずかしい責め苦を与えたら話したぞ」
「…せ、責め苦」
伊志嶺社長の凄味のあるその言い方、言葉にゾクッとした。
彼女は社長から一体どんな仕打ちを受けたのか──それを考えると怖さというよりもゾクゾクとした悦楽めいたものを感じてしまった。
「貴様が何の目的で由梨子にちょっかいを出しているのかは知らんが俺が知った以上どうなるか分かっているだろう」
「ひぃっ!」
ガツッ!と破壊音が耳に痛い程響いた。いきなり壁際にまで追い込まれ、僕の顔の直ぐ真横の壁が物凄い音を立てて穴を開けた。
「あ…あっ…」
「貴様は男が好きらしいな」
「は…」
「由梨子からも頼まれたから手荒い事はせん。仕事もそれなりに出来そうだしな」
「……」
「由梨子に免じてこいつらをくれてやる」
「…え」
伊志嶺社長がパンッと掌を叩たくと部屋の中に屈強な男が三人入って来た。
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