bittersweet 第二章

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(確か源治さんが彩奈さんと結婚したのって32の時だって澄子さん、いっていたよね?) 源治さんが32歳の時、私は10歳。 (うーん、そう考えるとやっぱり22歳差って大きいな) そして離婚したのが一年後──わずか一年足らずの結婚生活に何があったのだろう? 源治さんが私たち家族を援助してくれた頃は私が高校に上がる前だから…15歳。源治さんは37歳。 (援助するその頃に何処かで私を見掛けたのかな?) 母に会った時に訊いた話によると、私は小さい時に源治さんに会ったことがあるらしいけれど、その頃の源治さん絡みの記憶は私にはなかったし、勿論15歳以降の私の中でも源治さんと会ったという記憶はない。 ──となると、やはり年頃になった私を源治さんは何処かで見初めて好きになってくれた、と考えるのが妥当なのかな? (…なんだかそう考えるとくすぐったいな) 私の知らない処で私を好きになってくれていた人がいただなんて。しかも強引な手段を使って手に入れるくらいに好きだなんて。 自分の中でなんとなく道筋を立てると益々源治さんのことが愛おしく思えてしまって堪らなくなる。 (あぁ、無性に源治さんをギュッとしたい) そう思った私はそそくさと湯船から出て源治さんの元に急いだのだった。
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