7645人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ
bittersweet 番外編(南春登の誤算)
約二年ぶりに会った彼女は人妻になっていた──。
『初めまして、南春登です』
『あ…あの…初めまして』
明らかに動揺ぶりが窺える彼女の態度に様々な気持ちが湧いて出て来た。
伊志嶺由梨子──旧姓 竹井由梨子。
大学時代に合コンで知り合った彼女。
女には興味のなかった僕だったけれど、彼女があの竹井道長の娘と知って俄然興味が湧いた。
竹井道長は建築士として心に留めていたひとりでもあったから僕にとっては娘の視点から彼の話が訊けるのはとても有意義な時間となった。
彼の話を訊く機会を得るために彼女とは頻繁に会うようになり、そして考えた。
これほどまでにカモフラージュに最適な女はいないんじゃないのか──と。
最初のコメントを投稿しよう!