bittersweet 番外編(澄子さんの表彰状)

1/4
7645人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ

bittersweet 番外編(澄子さんの表彰状)

11月22日の晩ご飯の後、澄子さんがにこにこしながら私と源治さんがいるリビングにやって来た。 「どうしたんですか、澄子さん」 「はい、今日はあたくしから旦那様と奥様に此方を」 そう言いながら差し出されたものは細長い筒だった。 「? なんですか、開けてもいいんですか」 「はい、どうぞご覧になってください」 私は澄子さんから手渡された筒をポンッと開け中から丸まった少し厚みのある紙を取り出した。 クルクル巻かれてた紙を広げてみて目に飛び込んで来た文字に驚いた。 「す、澄子さん、これ」 「あたくしから旦那様と奥様に『いい夫婦の日』表彰状でございます」 「……」 そう、それは【表彰状】の大きな文字に始まり、私と源治さんがいい夫婦であることを評した手づくりの表彰状だった。 「旦那様と奥様がご結婚されてまだ半年過ぎ程ではございますが、まぁ、その仲の良さといったら…あたくしの目には少々眩し過ぎるものがございます」 「あの、それって…」 「勿論褒めているのでございますよ。嬉しいのでございます、本当にもう…こうやって表彰したいくらいに」 「…澄子さん」 澄子さんがそんな風に思っていただなんて全然知らなくて、知らない処でこんな素敵なものを用意していてくれたのだと考えるだけで澄子さんに対して源治さん同様愛おしいという気持ちが湧いて来て仕方がない。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!