SOS

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SOS

 目を覚ましたのは、いつもの見慣れた天井でわなく、何枚かのグラビアアイドルのポスターが貼られていた。    「お、気が付いたか?」  繁が心配そうにこちらを覗き込むと、安堵した表情を浮かべた。  視線を横にずらすと、疲れ果てたのか三春が俺の手を握りながらベッドに顔を埋めて寝ていた。  「どうなったんだ?」  「それが、倒したと思ったら、急に体から青い炎が出たと思ったら、消えたんだ。」  「消えた?」  「あぁ、塵一つも残さずに。」  「俺の傷は?」  「それは、思った以上に浅くて、止血はできたけど、一応病院には行ったほうがいいかな。 でも、なんて説明すればいいんだ?」  得体知れない生物に殺されかけました、なんて誰が信じるだろうか。  「いったい、アイツは…。」    俺が疑問を言葉にしようとしたとき、またもや三人同時に携帯端末にメッセージが入った。  その音で目を覚ました三春と目があうと、彼女は嬉しそうに微笑む。  「またかよ…。 今度はいったい。」    俺は迷わずメッセージを開封した、するとそこには画像ファイルが添付されていた。  それを開くと、写真が一枚入っている。  その写真の中身は、俺たちが先ほど倒したような生物が、街中に溢れかえっており、人々が逃げまどっていた。  「おい、これみろよ…。 このメールの送信日時。」  繁が驚いたような表情でその部分を指さす。 そこに記載されていた日付はちょうど百年後の日付だったのだ。  「これ、嘘?」    「いや、でもこれに写っているのって、さっきのやつだよな?」  「ありえない…。 それに、この写真のデータ、もう一つ裏がある。」  画像をタップすると、写真の奥から文字が浮かびあがってきた。  『SOS』そして、また座標と日付が書かれている。  「おいおい、まじかよ、またアイツと戦えってか?」    「まって、この日付、一週間後になってるけど。」  「つまり、これって、未来からのSOSで、アイツが現れる座標と日付が送られてくるってことなのか?」    「どうやら、そうらしいな。」  「嫌だよ。 また、あんな思いするのは。」    「そうだな、このメッセージの送り主に従う義理も無い。」  三人の意見がまとまろうとしたとき、俺の携帯端末に非通知で電話がかかってきた。  俺は警戒しながら、通話開始をタップした。  「やぁ、初めまして。 それとありがとう。」  「伝えるのが遅くなってしまったけど、君たちは選ばれた、未来の人類を救う救世主に。」          
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