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 果せる哉、石田さんは我慢ならなくなって、ぎょろ目でぎょろりと健太を睨んで、「何よ!酷いじゃないの!そんな嫌味な事を冗談めかして其処まで意地悪になって言わなくたって良いじゃないの!」と一息に叫ぶと、その勢いに乗ってさっきにも増して健太の左三角筋を平手で強か撲った。 「どえりゃーいてゃあがやー!」  健太はこてこての名古屋弁で叫ぶなり今度は上体が起きた状態だったので上体が右側に大きく崩れて椅子からずり落ちそうになるも、反応良く左手を机上に突いて危うく踏み止まった。  石田さんは、少々やり過ぎたと思い、暴力沙汰を煙に巻こうと彼女なりに可愛く装って、「あー!私ったら、亦、つい怒っちゃって!」と濁声で言い、更に似合わないのに可愛子ぶって、「ごめんちゃーい、そんなに痛かった?」と妙な言い回しで謝る。  健太は左三角筋を右手で押さえながら、「痛かった?どころの騒ぎじゃないよ。体が第一宇宙速度で吹っ飛んで行ってスペースデブリを横目にしながら地球を一周して、ここへ帰って来たって気分だよ!」  全然懲りない健太に石田さんはぎょろ目を剥いて、「私がどれだけ力が有るって言いたいのよ!全く何処まで意地悪言えば気が済むのよ!」と亦も、怒ってしまったが、今度は暴力沙汰には至らず、直ぐに気を取り直して、「でも、よく考えたら、ちょっと癪に障るけど表現がとっても、おもしろーい!アハハハ!」と笑い、「川上君、サイコー!」と煽て、「でもね、川上君、好い加減ふざけてないで、もう、そろそろ真面目になって、ひよこちゃんの絵を描いてくれない。」とねだる。
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