けものフレンズ2−R2

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 <長いあとがき>  まずは、拙作に目を通して下さった全ての皆様に篤く御礼を申し上げます。  本作は、けものフレンズ2の世界観をベースにしています。その上で、イエイヌちゃんをどうやったら幸せにする事が出来るだろうか、そう妄想の幅を広げていくうちに思い出したのは、アプリ版に登場するセルリアンのフレンズでした。  以下、盛大なネタバレを含みます。いや、バレたところでどうなる、と言うものでも無いのですが、そう言うものがお嫌いな方のために、念の為。  そうそう、本作は著作権フリーです(と私が言って良いのかどうかは解りませんが)。自由に改変、改作して頂いて構いませんが、もし良かったら、ツイッターの「@simesaba0141」をフォローして頂き、その旨ご連絡を頂けますと大変嬉しいです。  では、以下ネタバレと言うことで。  読んで頂ければお判りの通り、本作におけるキュルルは物語の冒頭で、セルリアンに「輝き」を奪われてしまいます。そして、元の姿に戻った「もの」が、サンドスターの影響で再フレンズ化したのが、けものフレンズRで登場する「ともえ」ちゃん(をベースに、以下作者が勝手に妄想したキャラクター)です。  そもそも「ともえ」は不幸な事故で命を落とした、さる大富豪夫婦の一人娘でした。娘の死を受け止め切れない夫婦は、ある日、動物たちが火山から噴出するサンドスターなる物質で、人間の姿となってコミュニケーションが取れるようになったと言うニュースを耳にします。  このニュースに、ひょっとすると娘の復活を託せるかも知れない。そう直感した夫婦は、八方に手を尽くして、ついに一人の優秀な研究者に目をつけます。それが、アプリ版のキーパーソンである「カコ博士」でした。そして博士の研究を陰に陽にと支援し続けた結果、ついに夫婦は「ともえ」の依代となるアンドロイドの開発に漕ぎ着けたのです。  やがてカコ博士のプロジェクトは成功し、愛娘の生前の姿に限りなく近いフレンズである「ともえ」が誕生します。しかし、ともえはその出生の経緯から、パークの外には出られず、またサンドスターある限り、歳もとりません。それでも、夫婦はカコ博士に誓った通り、生前と変わらぬ愛情を、ともえに注ぎます。何代か前のイエイヌ、そしてサーバルとカラカル、更にはパークガイドのミライさんに会ったのも、この時の出来事です。  こうして豊かな情操を育み、精神的に成長していくともえでしたが、不幸がパークを、そしてともえの両親を襲います。アプリ版と、無印けものフレンズで語られたセルリアン事件の発生です。パーク内の人間たちは、一人残らず退去する事になりました。しかし、ともえはパークの外に出れば、サンドスターの力を失い、ただの人形に戻ってしまいます。  両親は、苦渋の決断を迫られます。そして、いつの日にか、必ずパークに帰れる日が来ることを信じて、ともえをコールドスリープカプセルに入れたのです。ただ、万一自分達が生きて戻れなかった場合を考え、カプセルの蓋を閉じようとする、その土壇場で夫が思いつきます。  「試してみたいことがあるんだ。君の、そのペンダントを貸してくれないか。」  夫はとっさに、妻がラッキーアイテムとして身につけていた、2羽のフウチョウをあしらったペンダントを手に取ります。そして二人の、「ともえを見守り続ける強い意志」をペンダントに願い、カプセルにともえと共に封じ込めます。あの思わせぶりで何を言っているのか解らないキャラは、こうして生まれたのですね。  さて、最後にキュルル誕生の謎明かしです。  サンドスターがフレンズ化を起こす事は広く知られていました。しかし、継続してサンドスターに長期間暴露され続けた時、何が起こるのか。カコ博士はその事について、一つの仮説を持っていました。  一度フレンズ化した個体でも、サンドスターの濃度が濃すぎるとリセット状態、つまり記憶や経験が上書きされるのではないかと。キュルルは長い間、カプセルに封じられていました。恐らく、元の姿に戻る事を危惧したカプセル製作者は、内部にサンドスターを継続的に供給できる装置を取り付けていた筈です。  そして、その仮説は現実のものとなり、キュルルが目覚めた時、大量のサンドスターによってともえの記憶は完全に上書きされ、リセットされていたという訳です。そしてまた、作中にセルリアンに襲われて「輝き」を全て奪われた結果として、カプセルに入れられる直前の記憶をメモリーバンクに残したまま、ともえ(の依代)の再フレンズ化が起こったのですね。  一方で、キュルルの輝きを奪ったセルリアンは、キュルルが持つ好奇心の強さに抗い切れずに、反対にその体を乗っ取られてしまいます。元々、キュルルの輝きとは、本体のハードウェアに対して付加されたソフトウェアそのもの。そう、全ての答えはアプリ版に既に内包されていたのです、すっご(自粛)。  こうして、アプリ版のサーバルから生まれたセルリアンのフレンズであるセーバルと同じ理屈で、ともえとキュルルの人格は分離され、それぞれが別個のフレンズとして、いわば姉弟のような存在になった。それが本作のキモと言う訳です。  余談ながら、アプリ版のセーバルはその後どうなったのか…もし、この設定をうまく使えば、もしかするとサーかばコンビの復活も描けるかも知れません。もっとも、作者としては、かばんちゃんにはアムールトラちゃんと新コンビを組んで欲しいと思っていますが。  さて、妄想はこれくらいにしましょう。本作はこれで完結です。私には、これ以上の展開はとても思いつきません。何より動物の事がサッパリわからないからです。いつか、かばん、サーバル、キュルル、ともえちゃんの運命が交錯する日がやってくる、その日を楽しみにしつつ。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。  令和元年、作者より。
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