2.Here I am

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「従者もつけずおひとり? 可哀想ね。捻くれ者のあなたに手を焼いて、みんな長続きしないんですってね」  うっせえ、第一妃(ばばあ)。  そのうちバスターキャノン砲で素粒子に分解してやる。 「お母様はお元気かしら。今度お茶会にお誘いしようと思っていたところよ」 「毒でも盛るつもりかよ」  愛想笑いを浮かべていた第一妃は、表情をなくした。暇すぎてろくでもないことばっか考えてんだろうな。可哀想なのはあんたのほうだよ。 「なんて失礼な子なの。母親に似て可愛げのない!」 「母さまの悪口言うんじゃねえ!」  オレはエレベーター横に飾ってあった花瓶を持ち上げ、花ごと中身をぶちまけた。第一妃に命中しドレスの色が濃く変わる。びしょ濡れになった第一妃は悲鳴を上げた。  ざまあみろ。  花瓶を思い切り床に叩きつけた。粉々に砕け散り、赤いじゅうたんを汚す。オレは到着したエレベーターに飛び乗り、素早く扉を閉めた。ヒステリックに叫ぶ声は遠ざかって、そのうち聞こえなくなった。  オレはぎゅっと両手を握りしめた。  腹が立つ。面倒くさい。すべてが。  だけど……投げ出したくなる諸々を抱えて、ここに留まらなきゃならない。  この腐敗した王宮で。オレも。腐りながら生きていくんだ。  それでも、母さまとユリウスがいるなら耐えられる。  ふたりのためならなんだってやる。  いつか誰かを殺すことになっても、母さまとユリウスが綺麗なままでいてくれるなら、オレは汚れたっていい。  どんなに汚れたって、かまわないんだ。
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