46人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
*
「カイ、カイ! 大丈夫?」
「ゆゆ……?」
いつの間にか眠ってたオレは、ユリウスに起こされた。外国語の授業、終わったんだな。
「いまね、お医者さん呼んだから。もう大丈夫だよ」
「なんの話」
「熱があるんだってば」
「あぁ……道理でだるいと思った」
体が火照ってのどが渇く。
「脚、痛い?」
いまにも泣きそうな顔でユリウスがオレを見つめる。
「心配すんなよ、いつものことだろ」
「だって……」
「それより、クマ見つかったぞ。今度はなくすなよ」
と言っても、セキュリティの網をくぐり抜けて、リセはまたいたずらしに来そうだけど。
この際、発信機でも埋め込んどくか? オレは抱えていたクマをユリウスに渡した。
「ありがとう、カイ! どこにあったの?」
「さあ、どこだったかな……」
オレはごまかして顔まで毛布を引っ張り上げた。リセが犯人だったことは、あえて知らせなかった。ユリウスをわざわざ不安にさせることもないよな。
最初のコメントを投稿しよう!