1.Twins

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「ユリウス、朝だぞ」  ふたりで寝てもあり余る天蓋付きの大きなベッドで眠るユリウスに声をかけた。 「カイ……もう朝ぁ? まだ寝てたいよ」 「体調は」 「悪くないよ、眠い以外は」  風邪が抜けて顔色も良くなった。昨夜は咳も出ず熟睡できたみたいだしな。 「メイドが来るまえに顔洗っとけ。朝飯はおまえの好きな蒸し鶏のサラダ頼んどいたから」 「わお。起きるー」  ユリウスはオレと同じ金の髪に深い海色の目をしてる。優しく思いやりがあって、穢れない内面を表したような顔立ちだ。  その逆を行くオレも、ユリウスと一緒にいるときだけは優しい気持ちになれるから不思議だ。 「カイはよく早起きできるね。ゆうべも遅くまで本を読んでたでしょ。僕と違って勉強熱心だよね」 「家庭教師に感想話さなきゃならねぇから、仕方なくだよ」  生まれつき右脚の悪いオレは、兄であるにも関わらず王位継承権がない。昔からの因習で五体不満足なやつは、はじかれるんだ。  弟のユリウスが王位を継ぐことに対して、憎いとか悔しいなんて卑屈な感情はなくて、傍らでサポートするのも有りだと思ってる。  ユリウスは純粋すぎて危なっかしいから、側室の第一妃(ばばあ)やくそ意地悪い息子のリセから守ってやらなきゃなんないんだ。
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