1.Twins

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「ね、カイ。そのプリン食べないならちょうだい?」  俺たちは広間で朝食をとっていた。母さまは体が弱く寝込みがちで、自室で済ますことが多い。体調のいいときは一緒に食事するけど、最近はまれだ。  親父は公務と軍務で忙しくて、一緒の食卓につくのは王族の大きな集まりがあるときくらい。  母さまより側室の第一妃に会いに行くような(やつ)だから、いないほうがせいせいする。 「ゆゆ、まだ食べる気かよ。デブるぞ」 「え……だめ?」  悲しげに見つめられてオレはひるむ。なんだよ、その子犬みたいな可愛さは。反則なんだよ。 「オレはおまえの食欲が恐ろしいよ。毒見されてないものは、食べたり飲んだりするなよ」 「そんなお行儀悪いことしないよ」 「どうだかな」 「もうープリン、くれるの、くれないの」 「わかったよ。やるよ、食べろ」  食いしん坊め。細い体によく入るな。オレはデザート皿を向かいに座るユリウスに渡した。目を輝かせて受け取ったユリウスは、 「ありがと、カイ。大好き」  と幸せそうに笑った。まったく、おまえが好きなのはプリンのほうだろ。 *** プリン大好き、ゆゆ。あがたさんから頂戴しました! 09c36383-3081-4e6e-b2d3-b203a72ded5c
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