2.Here I am

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2.Here I am

「なあ、ゆゆの従者、なんて名前だっけ」  オレたちには身の回りの世話をするメイドのほかに、従者がひとりずついる。  王族関係の子供が社会勉強のために、一定期間王宮に仕える習わしがあって、候補者の中からオレたちに近い年齢の子供があてがわれる。 「僕の従者は、ボニファティウサだよ」  そういや、呼びづらいからボニーって略されてたな。くるくるの天パで、バッハみたいだった。 「そいつ、従者から外せ。頼りなくていざってとき、ゆゆを守れない」 「カイの従者みたいにやめさせちゃうの?」 「使えないやつそばに置いたって足手まといだろ」 「カイ厳しすぎなんだもん。次の従者、まだ決まってないんでしょう」 「来週赴任してくるって。子爵家のリイン・アニエスってやつ。オレたちより五歳上だってさ」 「お兄さんかぁ、会えるの楽しみ」 「使えなきゃ速攻切るけどな」  オレの従者は短くて一日、長くもって一か月。どいつもこいつも気の利いた働き方ができないから、みんなクビにした。  アニエスってやつも、きっとすぐ辞めることになるだろう。
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