歓迎会のその後で

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   夏木の話によれば……。  今から五年程前、鳴神先輩がまだ警察学校を出て交番勤務だった頃。  鳴神先輩のことを好きだったらしい同期の女性警察官に、一年もの間ストーキングされた挙句。  当時交際していた女性と一緒に居るところをナイフで襲われて、彼女に大けがを負わせてしまったという。  でも、それまでは、まさかストーカーが同期の女性だったとは分からなかったらしく、仕事のことや彼女のことなど色々と相談したりしていたらしかった。  ナイフで切りつけられて初めて、ストーカーが同期である警察官だと分かったらしいのだ。  表では、なにくわぬ表情をして友人として接していたのに、裏ではストーカーをしていたなんて、想像しただけでもゾッとする。  そんな過去から、鳴神先輩は女嫌いになってしまったのだという。 「……巡査だったっていっても、すぐ懲戒免職にして、マスコミにも漏れない様に色々圧力かけたみたいだから、世間には出回ってなかったんだけどねぇ。警視庁じゃ有名な話よ。まぁ、でも、同じ警察官で、しかも親友だと思ってた同期にストーキングされちゃ、そりゃ女嫌いにもなるわよね? それに彼女まで巻き込んじゃって、怪我までさせちゃったんだし」 「……そう……ですね」  夏木から聞かされた鳴神先輩の過去があまりにショッキングなことだったため、私はそれ以上の言葉を返すことなんてできなかった。  再び鳴神先輩の方へと視線を向けてみれば……。  鳴神先輩とタイミングよく視線が交わってしまい、『なんだ?』という感じで怪訝そうな表情をされてしまった。  慌てた私は、『何でもありません』という風に首をブンブンと振ることしかできなくて。  それを酔いが回って上機嫌になってしまっている夏木に、 「もう、ちょっと大丈夫? 酔いが回っちゃったんじゃないの?」 そう言って肩を掴んでブンブン揺すられてしまい。  一瞬、気持ち悪くなってしまったもののなんとか持ち直して、 「へへ、大丈夫ですよ~」 とは返したものの、鳴神先輩の過去のことや元カノのことで私の頭の中は一杯だった。
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