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酔っ払って意識を飛ばしてしまった私が目を覚ましたのは、見知らぬホテルらしき部屋の広いベッドの上だった。
「……イタタ、ん? ここ、どこ? ええッ!?」
しかもお約束のように、目覚めた私の隣には、スヤスヤと眠っている鳴神先輩の姿まであったため、初めて味わう二日酔いの頭痛なんて完全スルーで、呑気な声を出して辺りをキョロキョロ見渡していた私は驚きすぎて言葉を失い、最早パニック寸前だ。
なんとか平静を保とうと、横になったままの自分の身なりを確認すると……。
スーツのジャケットは着てはいないものの、白いブラウスもインナーのキャミソールもブラもちゃんと着けていて。
そのことにホッと胸を撫で下ろして安堵の息を漏らしたのも束の間。
私の身体に掛かっていた布団を捲って見てみた先には、スーツのパンツは穿いてはおらず、水色の下着だけというなんとも心許ない有様だった。
――一体全体、何がどうなっちゃってんの?
二日酔いの所為で、覚束ない頭をフルに活用して、色々と思い出そうと試みるも……。
歓迎会をしてもらって、珍しいお酒を浴びるほど呑んで。
夏木に萌え萌えショットを拝ませて貰って、首を絞められて危うくあの世に逝きかけたところを鳴神先輩に助けて貰って。
夏木に鳴神先輩の過去を聞いたところまでしか思い出すことができなかった私は、気持ちよさげに眠り続ける鳴神先輩の隣で、頭を抱え込むしかなかった。
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