王子様はとんだ腹黒大魔王!?

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 とはいえ、このままおとなしく黙っていることもできなくて。 「はっ!? 腐女子じゃありませんっ! ちょっとそういう本が好きなだけで……」  勢いに任せて言い返してみたものの……。  こんなものではなんの説得力もないから、私の声は次第に尻すぼみになってしまう。 「それを“腐女子”つーんだろ? お前、バカか?」  それを鳴神に、間髪いれない速さで、もっともなことを言われた挙句。またもや小馬鹿にされて、私は拳をギリと強く握り込んで黙るしかなかった。それなのにだ。 「まぁ、いい。お前が読んでたBL本のことは黙っといてやる。その代わり、お前、今から俺の奴隷ってことでよろしく」 「はぁ!?」  鳴神の口から飛び出したとんでもない要求に、ただただ驚くばかりの私の口から出たのはそんな声で。 「嫌なら別にいいけど。班のメンバー、結構みんな口が軽いんだよなぁ。一週間、いや、三日で警視庁中に広まってるだろうなぁ」 「……わ、分かりました」  私は結局、先輩刑事である腹黒鳴神の理不尽な要求に応じるしかなかったのだった。
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