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入庁初日に現行犯逮捕!?
人の波に流され押し合いへし合いなんとか満員電車に乗り込んだ私はフウと大きく息を吐いた。
大学進学を機に田舎から上京してきて、かれこれ七年近く電車を使用している。が、こうやって四角い密室に人がひしめき合うようにして詰め込まれている満員電車には、未だに慣れずにいる。
それどころか、毎日憂鬱でしかない。
四方八方からも迫りくる人の波に抗って踏ん張りつつ、今日もどうせ座席になんて座れないのだろう、と諦めて。空いてる吊り革を求めて視線を漂わせた先に、運よく空いてる吊り革を発見することができた。
このどこに流されてしまうかも予測のつかない状況下で、唯一の拠り所だと言っても過言ではないだろう吊り革に、チャンスとばかりに手を伸ばしたその時だった。
ちょうど吊革の真下辺りに座ってた年配のご婦人が、ハッとしたような表情を見せたかと思えば、慌てた様子で左右に忙しなく視線を向けた次の瞬間。これまた慌てた様子で立ち上がると、そのまま出口に向けて人波に消え行ってしまった。
どうやら、危うく乗り過ごすところだったんだろう。
職業柄、経緯を見届け安堵してから、左右を見渡してみても、たった今空いた席に座ろうとしている人は居ないようだった。
ちょうど目の前の吊り革に、私が掴まって立ちはだかっているのだから無理もないのだけれど。
『ラッキー、ヤッタね!』と、胸の前で抱え込んだままのリュックをギュッと抱きしめると、そのまま椅子に腰かけて。ゴソゴソと膝に乗せたリュックの中身を漁って、お目当てのあるモノを取り出した。
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