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王子様はとんだ腹黒大魔王!?
あの後、痴漢に間違われてしまった可哀想な私は、どうにかこうにか誤解も解くことができて。
なんとか遅刻せずに済みそうだと、ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間。
私を逮捕した警察官である彼の「手錠のカギがない」という、信じられないこの一言によって、またもや私は奈落に突き落とされたのだった。
――それでも警察官か?
そう言いたくなったのだが、"ちょいエロなBL本"のこともあり、あんまり強くも言えなかったのだ。
そして、痴漢の男と間違い私に手錠をかけたこの警察官は、偶然にも今日から私がお世話になる特別捜査班の先輩刑事である 鳴神 涼 巡査だったのだが……。
この男がとんでもない腹黒だったのだ。
この男ときたら、私が同じ班に配属された新米刑事と知るやいなや、
「期待の新人がまさか、“腐女子”だったなんてなぁ? 班長が知ったら泣くのは確実だなぁ」
なーんて、ニヤニヤと厭らしい笑みをちらつかせる王子様とは程遠い姿を見せたのだ。
――だ、騙された! 腹の中は、きっと真っ黒に違いない。この腹黒王子め!
あの優しげな王子様のような微笑に一瞬でも見惚れてしまった自分もろともぶん殴ってやりたい。
心の中で、そうは思ってはいても、警察官である私にそんなことが許される訳もなく、我慢するしかなかった。
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