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ばあちゃんは、この武術を私に仕込むために、強烈な「洗脳」を施していた。
「男は全員ケダモノじゃ。大人になるまで、絶対に男と接触してはならん。体を触ってくるような男は、全て金的縛破で倒すのじゃ!」
私は勢いよくうなずいて、
「分かった! 男はみんな、悪いやつ!! ぶっ倒す!」
小学校までの私は、本気でそんな風に思っていた。
そして、男子と遊んでいた時も、たまたまちょっとでも体に触られたりしたら、容赦なく金的縛破を食らわせ、悶絶させていた。
「ばあちゃん、今日は博光君を血祭りに上げたよ!」
「おお、でかした、良い子じゃ。それでこそ、昇天流の継承者じゃ。女子は貞操を守るのが仕事じゃ。エリリカは、良い子じゃなあ」
稽古の時、異常に厳しいばあちゃんも、金的を縛破した時は、優しく撫でてくれた。
そのうち、クラスの男子のほとんどは、私を恐れて近づかなくなった。
だけど、たった一人だけ「お前の金蹴りなんて、よゆーでかわせるぜ」とか言って来る子もいた。その子は、いつも髪の毛がボサボサで、度のキツイ眼鏡を掛けていた。
でも、その子は決して私に触ろうとしなかった。だから私は、
「へん! 弱虫め!」
と言って、相手にしなかった。
小学校までの私は、ホントにばあちゃんの言うことが真実だと思っていた。
ていうか、そう思わされていた。
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