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 十九歳の誕生日を、僕は病院のベッドの上で迎えた。自分でも、まさかこんな形で誕生日を迎えるとは思ってもいなかった。入院して半年、治療の効果はなかなか出てこない。せっかく入学した大学も、三ヶ月通っただけだ。  骨肉腫、その病名を聞いたとき、僕は耳を疑った。僕は特に病気に詳しいということはないが、その病名には聞き覚えがあった。  骨肉腫とは簡単に言えば骨にできるガンだ。ガンである以上、放っておけば当然のことながら命を落とすことになってしまう。そういう訳で、僕は入院して治療に当たることになった。  骨肉腫といえば、手足を切断するイメージが強いが、今では抗がん剤による治療を併用して、骨の一部だけを切除するというのが主流らしい。僕の場合も抗がん剤治療を行っている。だけど、最悪の場合は、足の切断もあり得ると、医師からは宣告されている。  正直言って、骨肉腫なんて、テレビか映画の世界の話だと思っていた。もちろん、実在する病気なのはわかったいたし、骨肉腫で実際に苦しんでいる人がいることも知っていた。だけど、自分がその当事者になるなんて、どうやったら考えることができただろう。  実際、今でも僕は自分がそんな病気にかかっているなんて信じられないでいる。だけど、いつも痛む膝が、僕に現実を突きつけてくる。
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