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止まないディーゼルエンジン。間もなく八時。発車のチャイム。閉まるドア。動き出す列車。流れ出す風景。一瞬だけ見えた大福屋の名前。でもすぐにカーテンの影絵。抜けるホーム。真横をかすめる住宅。一瞬だけ目に映って、カーテンの影絵。切り取る住人達の日常。
しばらくすると流れる自動アナウンス。すぐに最初の駅。住宅街の中にある無人駅。さびれたホーム。誰も降りず、誰も乗らないホーム。そんなホームに別れを告げる列車。ここから先、目的地まで繰り返すであろう光景。
再び走り出す列車。終点が僕の故郷。ここから約一時間半。正直不便な故郷。だから僕が嫌いな故郷。でも一年後、ダム湖に沈む僕の故郷。
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