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「随分と驚いているじゃないか」
翳は僕の顔色を覗き込んで、すぐさま理解した。
「あぁ、記憶を失っているのか。そんなことにも気付かないなんて、失礼したね」
そう告げた彼は、勿体ぶることなく、僕の過去を語り始めた。
唐突すぎるが、僕は気になって止めることはできなかった。
――慶長と呼ばれた戦国時代。
瓜生島の蛭子神社と呼ばれた神社があった。
慶長豊後地震により、海の藻屑となった伝説の島である。
それが瓜生島。
断層と断層に挟まれ、地震は常にデメリットと隣り合わせ。
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