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男はロボット技師であった。だがロボットメーカーやメンテナンス会社には勤務しておらず、こんな地下牢のような薄汚い建屋に一人で引きこもっていた。一人でいなければならない理由があった。
「なにを見てるんだ? 用が済んだなら、さっさとメシの準備をしな」
手元を見つめる視線を気にしてか、『親方』はすごんだ。
「あ、はい──」
弾かれたようにMM‐TZ48は背筋を伸ばし、そそくさと部屋を出て行った。
(自分もここで修理されたけれど、いつかは部品取りにされるのだろうな)
冷静にそう思った。
MM‐TZ48は故障して棄てられていたところを、ほかのLSHロボットとともに親方に拾われた。ジャンク屋の裏手で野ざらしにされ、金属回収業者に売られる直前だったのを、格安でゆずってもらった〝資源ゴミ〟のうちのひとつだった。
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