第1話 カームシティの魔法術師

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 それぐらいしか思いつかない。友人など来たことがなかったし、血縁関係者となるともっとありそうになかった。 (いや、ちがう──)  MM‐TZ48のセンサーが、生体反応を捉えていない。ということは……LSHロボット!  親方といっしょにいる。  足音を忍ばせて、MM‐TZ48は親方の作業部屋の前まで至る。  会話が聞こえてきた。  アルン、とそのLSHロボットは名乗った。だれにつけられた名前がわからない。こざっぱりとしたジャケットを着たこのLSHロボットには所有者(オーナー)がいないのだ。  親方は、わざわざやって来たこの古いタイプの汎用型LSHロボットを利用できるのではないかと、すぐに皮算用を始めてしまう。だから「あなたが魔法術を使えると聞いた」というセリフをうっかり聞き逃すところだった。
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