198人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「……そうだな」
斎の口角が上がる。そして、斎の腕に力がこもった。私は斎の手に自分の手を添える。
「斎に置いていかれないよう、ついて行くから」
「置いていく訳がない」
「そう? 斎は突っ走って行っちゃいそう」
「舞を放っていけるはずがないだろう?」
そう言った斎の表情があまりにも素敵で、そして優しくて、私は胸がいっぱいになり、涙が零れそうになった。
「俺に舞が離せる訳がない。舞が自分から俺の手を離さない限り」
「……それはありえないよ。だって私、斎が私を離そうとしても、しつこく食い下がるつもりだから」
斎が驚いた顔をして、その後、喉を鳴らして笑う。
「それは怖いな」
「怖いよ。だから……覚悟して」
「あぁ」
私は斎の腕をすり抜けて、斎と向き合う。そして、笑った。
「神様に誓う前に、斎に誓います。私はどんな時もずっと斎の傍にいて、斎を支え、一緒に幸せになります」
「舞」
「斎、愛してる」
「……もう一度、スタッフの人を呼ぶ羽目になりそうだな」
「え?」
最初のコメントを投稿しよう!