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「不吉な動き……?」
「そこは、外国人労働者の寮みたいなんだが…、あまりにも警戒しながら荷物を部屋に運んでいたんで、その部屋の鏡に入り込んで様子を見ていたんだけど……」
「で…、どうだったの?」
「部屋の鏡の全部に布を被せてあった。その隙間からしか見れなかったんだけど、荷物の中身が……散弾銃だった。」
「えっ……、どうしてそんなものが…?」
「知らん。ただ、見るからにメーカーはレミントンM870。しかも中古の。恐らく、どっからか盗んできたんだろう。」
「レミントM870と言ったら…自衛隊とか、警察の刑事部特殊班とか、海上保安庁の特別警備隊で使ってる物でしょう?」
「それと、日本人が一人いた。姿は見えなかったけど…。どうやらそいつが指揮を取っているようだった。」
「じゃぁ…、その日本人はその関係の……?」
「分からない。でも見るからに散弾銃のボディーの素材が、錆に強いクロームステンレス製のマリーンマグナムタイプだったから、恐らく海保の物でしょうね。アタシらの件と関係がなければ良いんだけど……いずれにせよ、物騒だ。そんな物が一般人に出回るなんてこの時代では通常ありえない事だ。」
「部屋の鏡に全部布を被せてあったっていうのも気になるねぇ。もし、イロの偵察を警戒しての事だったら……他人事ではないね…。」
二人の間に不穏な空気が流れた。
「ねぇ、彼って何?イロちゃんのboy friend?」
突然、二人の母親の曲羽はカウンターの席でお茶をすすりながらニヤニヤして興味津々に訊いてきた。
「…っ!おっと……母さん…、いつから居たの…?」
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