二人の時間

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「…えと、あの、あの…ねっ…」 ――私が好きなのは凌で、昨日から付き合ってるの。 そう言おうとして喉元まで上がってきているのに、なかなか出てこない。 誰かに話すのが嫌なんじゃない。 そう思う余裕もないくらい、凌のことでいっぱいすぎて。 凌の名前を出すだけで想いが溢れるようで、どうすればいいのかわからない。 それでも、言わないわけにはいかない。 もし本当に菜摘が彼のことを本気で好きだとしたら、それもなおのこと。 「…?どうしたんですか、先輩?」 「あ、うん、えと、」 「あっ!もしかして、先輩の彼って同じ会社の人だったりします?だから言いにくいとか」 目を爛々とさせて言われて、心咲はすっと目を逸らして「…う、うん」と言うだけだった。 詰め寄るようにして「えー誰ですか!?」と聞いてくるあたり、その相手が凌だと思ってないようだ。 同期ではあるけど、社内でそこまで親しくしてるわけじゃない。 今までは契約上の関係でしかなかったから、それが知られないように敢えてそうしていたところがあった。 でも今は、あの時とは違う。 自分の気持ちも二人の関係性も、なにもかもが変わってしまった。
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