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まあ、俺には関係ないか。
靴を履いた俺は、校門を出る。
家に帰ったところで、特にすることもない。塾の時間まで、適当にケータイをいじってゴロゴロするだけ。実に下の人間らしい生活だ。
こうしている間にも、上の人間――二宮や荒木はそれぞれ目標に向かって進んでいるのだろう。
どんどん置いて行かれるな。
進むべき方向も、進んでいる速度もわからない。
真っ直ぐ帰り道を歩く中、俺はふと考える。そもそも、俺は歩き出せているのだろうか。
「はっ……」
自嘲染みた笑みがこぼれた。歩みが止まる。
「歩き出せていたら、こんなところにいるわけがないか」
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