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「荒木鉄平」
「はい」
先生から名前を呼ばれ、体育館のステージの上に荒木が登壇する。俺を含めた生徒たちはその姿を黙って見つめる。体育館は人の多さのせいか、少し蒸し暑い。
「おめでとう」
校長が荒木に賞状を渡す。荒木は丁寧にそれを受け取った。
確か、自動車関係で荒木のアイデアが受賞したのだったと思う。カーデザインだったか、車の部品の製造だったか、よくは知らないけれど。とにかく、車の何かで荒木は褒められたことをしたのだ。
まあ、荒木は自動車への興味が強かったし、環境もそういうものが傍にあったから、不思議な話ではない。
荒木は賞状を貰うと、ステージの端へと移動した。今日の集会は、何人かの生徒が表彰されるらしい。他にも賞をもらう生徒がいるから、荒木は邪魔にならないように避けたのだ。ステージから降りないのは、たぶん、賞を受けとった生徒が並んで、拍手を受けるためだろう。
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