第二話

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下の人間にも、何かしら生まれた意味はあるはずだ。そう思いたい。 無意味で、むしろ他の人に迷惑をかけてしまうような人間は、消えた方が良い。 「でも、死ぬのは嫌だし」 誰もいないリビングで、小さくつぶやく。 無意味な人間や、迷惑をかける人間は、一人で事故でも起こして消えてしまえば良い。俺は、そういう人間にだけはなりたくない。だから、なるべく良い大学に出て、自分に付加価値を加えたい。 そのためにも、今はとにかく勉強だ。それでいいはずだ。 だが、それでも不安は消せない。 良い大学に入学してから、そこからの未来が全く見えないのだ。要するに、自分が何をしたいか、明確ではない。 将来の目標――夢と言い換えても良い。それがないと、どうしても不安になる。
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