第二話

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やりたいことなんて、ころころ変わるものだし、気にすることないのかもしれない。 けれど、夢を見つけることを夢見ている現状は、とても危うい気がする。 もし、何も見つけられなかったら。その先にあるのは、きっと俺の一番なりたくない人間だ。 「俺は、何がしたいのだろう」 良くない。この思考は良くない。悪循環だ。ケータイでもいじろう。 制服のポケットに、手を入れる。そのとき、キッチンにいた母さんが、皿を持って出てきた。夕飯だ。 自分のご飯は自分でよそう。それがウチのルールになっている。俺は炊飯器の元まで歩いた。 ご飯を用意して、テレビを見ながら食事にありつく。今日はコロッケとロールキャベツだ。 ロールキャベツを口に入れたそのとき、唇が染みた。そういえば、いつの間にか口内炎ができていたんだった。昼食で気づいたのを思い出す。
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