第二話

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テレビには、高校生だった頃の写真が映る。間違いない。俺をいじめていた荒木だ。 車の知識が豊富だった、学校でも表彰されたあの荒木が……。 「続いてのニュースです。今週、虐待が発覚し逮捕された大学生、二宮彩華容疑者が、供述を始めたようです」 今、なんて……? 「二宮容疑者は大学で出会った男性と交際、その後、長女を出産しましたが、交際相手と日常的な虐待を行っていた模様で、夜、泣くのがうるさかったから、と話しています」 「この子、確か良いとこの大学に出た子よね。育児は向いてなかったのかしらね」 母さんがそう言い、こちらを向く。 「どうしたの? 急いでいるんじゃないの?」 「え、ああ」 何故、こんなことに。そもそも、俺は一体、何歳だ。そのことに気づいた瞬間、周りの景色が歪み始めた。 もしかして。そう思った次の瞬間には、暗闇に包まれた。
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