キンミライ

ずっとずっと、未来の話。

｢キンミライって知ってる？｣
その日の秘密は、そんな言葉から始まった。キンミライというのは、ミライの中でも｢今｣と程近いモノを指すらしい。
｢どんなキンミライになるのかな？｣
思い思いのアイデアが小さな部屋を埋め尽くす。

金ミライだったら良いね、キラキラしてて、素敵じゃない？家も車もセカイも金ピカなの。
えー、目が痛いよ、金ピカは。それに、そんなにたくさんの金がどこにあるの。
それは、技術が発達したら、他の星から･･･

菌ミライっていうのはどう？菌がうじゃうじゃっと･･･
菌類がセカイを支配するの？それはイヤだよう
うーん、じゃあ、菌を有効活用するのはどう、病気をやっつけたり、そのうち、悲しい気持ちを食べてくれる菌とかができたりして。
それはイイかも。平和なミライになるね

均ミライはどう？みんな同じようになっていくの･･･
それは･･･凄く、ありえるね
今も結構そんな感じじゃない？私たちを縛るものばっかり増えていってさ
そうかも。みんな同じところしか見ていないものね

筋ミライっていうのは？
もー、すぐそういうこと言うんだから。筋トレマニアめ
暴力的なミライになりそうだなあ
筋トレはいいぞお、今この瞬間だけを見ていられる
正当化しないでよ、筋肉がついていくのがうれしいんでしょ。今なんて見てないじゃない、非国民

勤ミライかもしれないね。働いて、働いて、働いて･･･
それもありそうだなあ。私たちは、働かなければいけないんだものね。｢今｣を良くするために。
僕はやだなあ。好きなことだけしていたいよ。

ほかに、どんなキンミライがあるかな。

･････････

わあ！びっくりした。誰か電気のスイッチ押した？狭い部屋なんだから気をつけてよ
押してない、押してないよ、なにがあったんだろう
足音がするんだけど。近づいてくるんだけど。

･･･バレたか。
･･･バレたね。ミライの話。

禁じられた、未来の話。