一話目

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 昼休みは、それなりに暇だ。  まずうちの学校では弁当を食べる際には 班ごとに机をくっつけて食べるという決まり がある。「班の人と仲良くなってね♪」と 先生の談である。  仲良くなれるわけないでしょ机くっつける くらいで。寧ろ悪化すると声高に言いたい。 現に私の机はくっつけられることはない。 私が端っこであるのをいいことに縦横 五センチずつ離れている。  ちなみに先生は職員室で弁当だ。  こちらも慣れたらそう苦ではない。手早く 弁当を片付けて机を戻せばいいだけだ。 お陰で弁当を食べるスピードはクラス1だ、 嬉しくない。  口に詰められるだけ詰めて、噛んで飲むを ひたすら繰り返して机を戻す。終わったら クラスにとどまることはせず図書室に 向かう。あそこは私のオアシスだ。  図書室に向かうと、迷わず壁際の本棚に 進んでいく。伝記や怪談シリーズが並ぶ本棚 だが、私が読むのはどちらでもない。  エジソンとライト兄弟の伝記の間にある 数冊を抜き取ると、奥に一冊のノートが 現れる。  チラッとまわりと見ると、さすがにこの 時間からなら誰もいない。いそいそと ノートを開くと、丁寧な字がびっしりと 並んでいた。  ○月○日  今日の体育最悪だった!ペアでのキャッチ ボールとかマジで無くなってほしい。余る人 の気持ち理解してほしい。先生マジで何も わかってないんだよねー。 「組む人いないー?」←殺したいの?? マナちゃんのとこ今体育何?  「ヤバイすごいわかる」  ハッとして周りを見るが、いるのは 司書の先生くらいだった。良かった。
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