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第0話 大雨
ザーッ_____ザーッ___
「俺は……、君が、好きだ。」
「…!」
太陽が、好きな子に告白していた。
大雨が降る中、顔を赤くさせながら。
私はただ、下駄箱の前で見ていた。
その場に突っ立って、ただ見つめていた。
告白された女の子は……、
顔を真っ赤にさせて、泣いていた。
そして___、
「…ごめん、なさい…っ。」
そう言って、女の子は駆け出した。
それを聞いた太陽はしばらくして……、
泣いていた。
大声を上げながら、泣いていた。
私は、ただ見てることしか、できなかった。
本当は、太陽のそばに駆け寄って、抱きしめたいのに。それができなかった。
今そばに行ったら…と考えると、
怖かった。
太陽は、しばらくして泣き止んで、
赤い傘をそっとその場に置いて、
歩きだした。
見えない道を、進むように。
(…ダメっ、太陽。。待っ、て。。。)
そう思っているのに、動けない。
まるで、金縛りにあったように。
(私は。。。。。)
【ねぇ、本当は、嬉しいんじゃないの?】
【太陽が好きな子に振られて。】
【やっと、手に入れられるんじゃないの?】
【今励ませば、振り向いてくれるかもよ?】
【早く行きなよ。】
もう1人の心の中の汚い私が、
そう訴えてくる。
うるさい、うるさい。
黙れ。
【ねぇ、……本当は、喜んでるんじゃないの?】
「辞めてっっ!!!!」
そう言った瞬間、声が聞こえなくなった。
私はその場にしゃがみ込んだ。
(……私、は、。。。)
どうすれば、よかったの………。
どうしたら、………。
_____太陽、
私は、
あなたのそんな辛そうな顔、
見たくないのに。
私はただ、
あなたの幸せを、
願っていただけなのに。
あなたの大好きな笑顔を
見たかった、だけなのに____。
ザーッ___ザーッ___ザーッ____。
雨は激しく、降り続ける。
大きな音を、鳴らしながら。
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