三毛と権兵衛の出逢い

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三毛と権兵衛の出逢い

 まるでタイムマシンに乗って移動するように時も場所も自由自在に選べて神出鬼没する不思議な三毛猫。それが元号を安永といった頃の江戸の世にやって来た。  で、この三毛、ネズミ退治が得意で人間の前でネズミを捕って見せてはその腕を見込まれて鼠算式にネズミが増えて困っておる家で飼われることになるのじゃが、ネズミがいなくなると、何処の家でも捨てられてしまうのじゃった。要するに今と違って何処の家も貧しくて猫なぞ飼う余裕はないからじゃった。だからと言って用が済めば、何の未練もなく弊履の如く捨ててしまうのは薄情に違いなかった。
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