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「お前のように損得勘定して常に事に当たり、返礼を期待して親切を装う偽善者が吾輩は一番好かんのじゃ!はあ、言いたいことが言えてすっきりした。しかし、こんだけ怒鳴ったら疲れた。もうこれくらいにして吾輩はここを出てゆく。随分と御馳走になったな、その礼だけはしておこう、かたじけない、では、さらばじゃ!」と三毛は言うや否や、須臾にして走り去って行ってしもうた。
あとに残された伝之助は、途方もなく大損をした気分になり、この上ない徒労感に浸りながら、ぽつりと呟いた。
「しばいたろか、あの穀潰し。」
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