三毛と伝之助の出逢い

5/5
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
「お前のように損得勘定して常に事に当たり、返礼を期待して親切を装う偽善者が吾輩は一番好かんのじゃ!はあ、言いたいことが言えてすっきりした。しかし、こんだけ怒鳴ったら疲れた。もうこれくらいにして吾輩はここを出てゆく。随分と御馳走になったな、その礼だけはしておこう、かたじけない、では、さらばじゃ!」と三毛は言うや否や、須臾にして走り去って行ってしもうた。  あとに残された伝之助は、途方もなく大損をした気分になり、この上ない徒労感に浸りながら、ぽつりと呟いた。 「しばいたろか、あの穀潰し。」
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!