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「そうよ、器が小さいわね、泉水さん。今宮くんはちぃちゃんのことを思って真実を伝えなかったってことでしょう?其処には愛情がいっぱい感じられるんだけど」
「…瑠花ちゃん」
「竹内さん、君、いつからちとせを『ちぃちゃん』なんて呼んでいるの?ちょっと慣れ慣れしいんだけど」
「あら、わたしとちぃちゃん、仲良しなの♪ねぇ、ちぃちゃん」
「う…うん」
私の右隣に座っている瑠花ちゃんがギュッと私の腕に絡みついたのを今度は武流が憮然とした表情で見た。
「しっかし流石今宮先輩ですね。受験前のこの難しい時期に短期留学なんて。頭がいい優等生のみに許される特権みたいで凄いですね」
「──というか今、ここに君の存在があることが凄いと思うけど。なんでいるの?」
「え?だってちぃ先輩からメールもらって。みんなが集まるからって誘われたからいるんですけど」
「『ちぃ先輩』とか呼ぶんじゃないよ」
「えーじゃあ前みたいに『ちとせ』って呼んでいいんっすか?」
「喧嘩売ってるの?勿論買うけど」
「ちょっとちょっと止めて、ふたりとも!」
冴ちゃんの隣に座っていた忍がやけに嬉しそうに武流に突っかかっていたのをハラハラしながら見ていたけれど、そんなやり取りがなんだか漫才のようで段々可笑しくなって来た。
夏休みもあと数日で終わるという頃、私は親しい人に武流の復学について報告した。そうしたらみんなが武流に会いたいという流れになって今日、ファミレスで集まることになったのだけれど──……
(みんながみんな好き勝手な気持ちを正直に言い放題だなぁ)
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