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少し冷めたコーヒーを口に含むと竹内さんは小声で呟く。
「ごめんなさい…もう、もう何もいわないから…だから変わらずわたしを盾に使って」
「だからなんでそこまでさせてくれるの?」
「……」
「僕は自分に都合のいい事でしか君を利用しない。利用する必要がないと思ったらすぐにでも捨てるよ」
「…それでいいの」
「……」
「武流くんに軽蔑されて…蔑んだ目で見られるよりずっとマシだもの」
「……」
「わたしが武流くんの役に立つならそれでいい。それだけの価値があるってだけでわたしは幸せだから」
「君、ドMだね」
「それは武流くん限定でね。でも武流くんだってまさかこんなドSだったなんて知らなかったよ」
「ドS?心外だな。僕はいつでも紳士的なんだけど」
「そう思っているのは武流くん本人と──だけ、かも」
「え」
竹内さんの声が掠れてよく聞こえなかった。
(僕と、誰だよ)
「でもわたしは紳士的な武流くんよりもこっちのドSな方の武流くんが好きよ。そのままの武流くんが」
「……」
「だからこれからも武流くんが必要と思う限りはわたしを利用して?この立場だけは誰にも渡したくないの」
「…変な女」
本当に変な女だ。利用されたいだなんて。好きだったらどんなことをしてでも手に入れたいものだろうに。
(……)
僕はどうなのだろう。
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