第七章 焦燥感と爽快感

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機械音がカシャカシャと響く度にバッバッとまばゆい光が瞳孔を襲う。 「いいよぉ~もっと視線、こっちに向けて?」 「……」 掛けられる声に応えるようにジッと目を見開いた。 「なぁに、今日はやけに挑戦的だねぇ」 「……」 呟かれる声は一応聞こえるけれどすぐに耳から抜けて行ってしまう。 「はい、終了~」 「……ふぅ」 今日の撮影場所は彼の家だった。掛けていたソファから腰を上げ彼の元に寄って行った。 「ほら、今日はこんな感じ」 「……」 パソコンに中にわたしの画像が何十枚も映し出される。それはいつもの見慣れているただのわたしの顔だ。 「ねぇ、何かあった?」 「…別に」 「ふっ、そんな伏し目がちに素っ気なくされるとゾクゾクするなぁ」 「っ」 急に腰を引かれそのまま彼の腕の中に体を埋められキスされた。 「ん、んっ」 すぐに口内に舌が捻じ込まれクチュクチュと絡みつく音が響いた。 「…っふ、熱いね…もう欲情しちゃっている」 「……」 そういうと彼はわたしを軽々と抱きかかえて奥の寝室にあるベッドの上に優しく下ろした。 「冴ちゃん…可愛いねぇ」 「……」 「信じられないくらい綺麗で…妖艶で…んっ、どうにかなってしまいそうだ」 「……」 軽口を叩きながら彼はわたしの服を脱がせ露わになった胸にぽってりとした唇を押し付けた。
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