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ズンズンと奥底を突きまくる彼のモノに痺れるものを感じながらもわたしの中を今、潤しているものはこの彼の温もりだった。
「あっ、あっ」
「冴…好きだ、好きだ…」
「…ん」
「放れないで…んっ、オレから放れて行かないで」
「……」
グチュグチュと激しく私の中を冒し、力一杯抱きしめられながら本音を吐露する彼に徐々にわたしの心は解されて行く。
わたしにこんな気持ちを抱かせるのは生涯ちとせだけしかいないと思っていたわたしは彼と出逢ったことで唯一の存在はひとつではないのだと知った。
「…冴……っ」
「好き」
「………へ」
「わたし、あんたのことが好き」
「……」
激しく律動していた下半身は止まり、彼は茫然とわたしの顔を見つめた。
「そういえばいってなかったなと思って…」
「……」
「…何、もう終わり?」
「……ううん、まさかだね。まだ冴ちゃん、イカせてないし」
「ふっ…」
何故か今になってちとせのことが遠くに感じられた。ちとせの恋が成就したのを見届けると何故か今までのような愛くるしい気持ちが萎んで行くようだった。
一途にちとせだけを求めていたわたしの熱は徐々に沈静して行く。そして気が付いたものが沢山あった。
今、わたしの傍にいるのはちとせじゃない。この目の前にいる彼だった。ちとせの代わりに彼を、という気持ちがないといったら嘘になるけれど、でも心に正直になって向かい合ってみればわたしが今、本当に欲しくて手に入れたいと思うのは──……
真っ暗闇の長い長いトンネルから抜け出したような爽快感が今、私の全身を覆っていた。
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