第八章 初体験

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ドキドキしながら忍を家に上げて居間に通した。忍の視線が隅に置いてあった仏壇を捉えるなりそっと近寄り手を合わせていた。 その流れるような行動を茫然と見ていると『ご先祖様の?』と訊かれたので、父のものだと答えた。するとサッと顔色が変わり『知らなかった』と少し寂しげな顔をした。 そういえば付き合いが浅過ぎて家族のことを話していなかったなと思い出し、父が亡くなったことや母の仕事のことなどを軽く話した。 私の話を真剣に訊いてくれる忍を見ていたら、山口さんから訊かされたような軽薄な感じは全然しなくてやっぱり噂は嘘なんだと確信した。 (なんだか…忍といるの心地いい) いつの間にかそんな安心感を抱いていた私だった。 ──だけどその安堵した気持ちも時間が経つとそわそわしたものへと変わって行った
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