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(はぁ…どうしようかな)
キッチンで時計を見るともう23時を過ぎていた。
先にお風呂に入ってもらった忍は今、私の部屋にいる。先刻お風呂から上がった私は水を飲むためにキッチンに来てもうしばらく経っていた。
(いよいよ…なんだよね)
ドキドキと高鳴る胸が痛い程だった。湯船に浸かっている時ぼんやりと思ったのだけれど、よくよく考えてみれば私は随分大胆なことをしているんじゃないのかなと恥ずかしさが込み上げて来た。
母がいないのをいいことに男を連れ込んで食事をしたり入浴させたり…やっていることがまるっきり誘っています──という状況だ。
(い、今更なにを~~~!)
ここまで来て急に(ひょっとして私は悪いことをしているんじゃないか)という背徳感に駆られる。
「……」
──確かに駆られているのだけれど
(でも…私は忍としたいと思って……)
「ちとせ?」
「!!」
急に背後から声を掛けられ盛大に驚いた。
「あ、ごめん、驚かせて」
「ううん…大丈夫」
「ちとせ遅いなと思って…ちょっと心配になって…」
「ごめんね、お水飲んでいて…あ、忍も要る?」
「……」
「忍?」
忍がジッと私を見たまま動かなくなった。どうしたのだろうと思った次の瞬間、忍は私の手から水の入ったコップを取り上げテーブルに置き、いきなりガシッと私をお姫様抱っこした。
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