第八章 初体験

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チュンチュンと聞こえる鳴き声に気が付く。部屋の中に細く長く伸びた朝日の光で目が覚めた。 「おはよう」 「……」 「ん、ちとせ?」 「……」 「あれ、起きてない?」 「……! し、忍っ」 急に目の前に忍の顔があって驚いた。思わず仰け反った私の体は全裸だった。 「?! きゃっ」 慌ててもう一度布団に潜り込んだ私を見て忍はククッと笑った。 「何そんなに慌ててんの。もう全部見ちゃったよ」 「~~~」 (そ、そうだった…) 昨夜のことを思い出してカァと体が火照った。未遂とはいえ私は忍と── (やだぁ~思い出しただけでも…どうにかなりそう!) あたふたしている私を忍は優しげな笑顔でギュッと抱きしめた。その温もりを感じると同時に首筋にチリッとした痛みが走った。 「痛っ」 「ごめん──印、つけた」 「印?」 「そっ、ちとせが俺のものっていう印」 「…あっ」 印というのがキスマークだと気が付いたのはふと目に入った胸元の痣でだった。 (なんか…あちこち赤いものが…) そうしてぼんやりと思い出す。私が盛大に痛がったせいで最後まですることが出来なかった後、私たちは挿入れる以外の触れ合いを沢山した。 キスは勿論、肌を触れ合ったり舐め合ったり…その行為のひとつにキスマークのつけ合いがあった。 私は中々上手く付けることが出来なかったけれど忍はどんどん私にキスマークをつけて行った。 (はぅぅぅ~今思い出すととんでもなくいやらしいことしていたよ、私たち!) 益々顔が赤くなった私の頭を忍は優しく撫でてくれた。 「ちとせ、ごめん」 「?」 「本当はもっとイチャイチャしていたいんだけど今日も午後から部活があって」 「あ…」 「一度家に戻って着替えとかしてから行きたいからそろそろ」 「…うん、分かった」 夢のような時間はあっという間だ。忍は土日関係なく半日は部活で時間が潰れてしまうのだといった。 それは仕方がないことで寂しいと思ってもそこはグッと我慢した。
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